花雨 仲合、同盟会話

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仲合

無心の顔

花雨は麗しい娘で、いつでもその身なりは整えられており、どんなに忙しくても手から顔に至るまで自身に気を配っている。
そんな彼女なのだが、普段はいつも一人で歩いており、人と接するのはおろか、話をしているところすらほとんど見かけない。彼女以上の無口な人は、私の周りでもそうはいない。
青空の下に風が涼やかに吹き、雲が流れる、そんな晴れやかなある日。湖畔のほとりまで足を延ばすと、水面に向かっていろいろな表情を浮かべている花
雨を見つけた。

無剣:花雨
花雨:うん?

花雨は立ち上がったが、さっきまでの表情は急に消えてしまい、いつもの冷たい顔に戻っていた。

無剣:いまの笑顔、最高だったじゃない!
花雨:笑顔?

花雨は私の言っている笑顔の意味がわからないらしい。とりあえず説明してみるしかない。

無剣:花雨が浮かべていた、あの表情のことよ。
花雨:それが笑顔と言うの?
無剣:そう、それが笑顔。そんなに素敵な笑顔ができるのなら、普段からもっと笑えばいいのに。いつもの冷たい顔よりはよっぽどましよ。
花雨:冷たい顔?
無剣:ええ、今のその顔のこと。
花雨:……

花雨は私の言っていることが分からないらしい。いつもの顔でこちらを見ている。

無剣:どうしていつも冷たい顔のままなの?
花雨:楽だから。
無剣:表情一つでそんなに変わるの?ちょっと大げさじゃない?
花雨:ちょっとでも、やらないよりはまし。

その言い方に、返す言葉が思いつかなかった。花雨はいつもの顔で私を見ている。その顔にはわずかな変化も無い。

無剣:じゃあ、さっきはなんで笑ったの?
花雨:いつもの訓練よ。
無剣:訓練?
花雨:うん。
無剣:ますますわからなくなってきた、訓練ってどういうこと?
無剣:表情を練習してなんになるの?
花雨:任務を遂行するためよ。

花雨は一切感情のない返事をくれた。

無剣:任務?っていうのは?
花雨:命を奪うこと。

花雨の顔はとても落ち着いている。その言葉に込められた意味を彼女はわかっているのだろうか。どう返したらいいのか分からない私は、話を元に戻した。

無剣:そう、じゃあその任務っていうのと、その笑顔の訓練にはどんな関係があるの?

花雨:この表情をすれば、相手の油断を誘える。
無剣:いつもの身だしなみもそれの為ってこと?
花雨:ええ、そうよ。
無剣:じゃあ、いつもの日よけの傘も?
花雨:傘は偽装の為でもあるし、武器でもあるわ。

花雨の落ち着き様に、また話の続け方がわからなくなった。彼女はまるで何事も無いかのように私を見る。顔の表情は何一つ変わっていない。

無剣:散歩しましょうか?
無剣:花雨は頷いて私の後をついてきた。常に私と一歩ほどの距離をとりながら歩いている。まるで侍女のようだ。

だが、武学の分かる人間なら誰にでも分かる。彼女は急な奇襲にも対応できる様にその距離を保っているのだということを。
私達はこうして、無言のまま歩いた……


花の過去

花雨との散歩で、一つ分かったことがある。彼女はいつも無口だが、知らない人に出会うと可愛らしい表情を見せるということだ。

花雨が前に言っていたこととは全然違うが、彼女はいつも本当の侍女かのように、物を持ったり暖簾を開けてくれたりもする。ただ周りに誰もいないときだけは無表情に戻り、私の背後についてくる。
宿に戻った私は聞いてみることにした。

無剣:花雨、帰りの道中は表情が豊かだったわね。無駄に体力を使っちゃったんじゃない?
花雨:それは周りに溶け込むため。

周りに誰もいなくなると、また花雨は氷のように冷たくなり、まったく感情を表さない。いまさっき柔和な表情で扉を開けてくれた花雨はもうどこにも見当たらない。
無剣:そんなこと誰から教わったの?

私は思わず疑念を抱く。いったい誰がこんなことを教えたのか。

花雨:私は絶命堂出身なの。
無剣:絶命堂?
花雨:絶命堂は暗殺者を育てる場所。

無剣:どうやって育てるの?

どんな環境を経て花雨が今の姿になったのか、聞かずにはいられなかった。

花雨:最高の暗殺者になる為の最高の訓練を受けるのよ。
無剣:具体的に何をするの?
花雨:潜入、武術、毒、暗器。
無剣:それって普通の暗殺者が学ぶことじゃない?何か特別な訓練もあったの?
花雨:特別?私には分からない。
無剣:じゃあ……潜入についてはどう訓練したの?
花雨:人混みの中に隠れる。

答えが返ってくるのはいいが、その内容が分からず頭が痛い。

無剣:人混みの中に隠れるってどういう意味?ね、どうやるの?
花雨:いかなる状況でも、一般人のように振る舞い、成りすまし、自分を隠す。
無剣:なるほど!
無剣:例えば、どんな人のふりをするの?
花雨:私が学んだのは侍女と淑女だけ。
無剣:みんながその二つについて覚えるの?
花雨:何に向いてるかによる。
無剣:人数は多いの?
花雨:絶命堂は毎年数百名の弟子を集める。多いかどうかは分からない。
無剣:そんなに?

驚いた、そんなに弟子がいるとは。何をさせようというのか?

無剣:そんなに多く集めて、何をするの…?
花雨:暗殺……

「それにしても多すぎる。まさか、弟子を使い捨てに・・?」そう考える私は、質問を続ける。

無剣:……一人で何回くらい任務をこなせるの?
花雨:二回。
無剣:できなかったら?
花雨:死ぬ。
無剣:怖がる人はいないの?絶命堂を出たいと思わないの?
花雨:いえ…何も。
無剣:ありえない!みんな怖くないの!?その感情すら無いっていうの!?
花雨:感情は全て任務遂行の為に使うもの。精神を消耗しないよう、普段は完全に捨てている。

いろいろと問いかけたものの、これ以上は組織のことを話してはくれなかった。


秘密の囁き

最近は花雨を連れて外に出ることが多い。花雨のような美しい用心棒がいるのも悪くない。
だがもっと重要なのは、花雨に自分の感情を取り戻させてあげたいということだ。どんな訓練で彼女が感情を無くしたのかは分からないが、花雨はきっと本当の自分を忘れてしまっているだけ……
道中にちょうど道観があったので、花雨をつれて中に入ってみた。しかし花雨は相変わらず私より一歩ほど背後にいる。

花雨:危ない!

突然、花雨が私を引っ張った。目は鋭く警戒心に満ちており、臨戦態勢をとっているように見える。

無剣:どうしたの?

彼女の反応を見て驚いた私は、どんな敵が現れるのかと周りを警戒していたが、花雨は注意を払いながら前を見つめて進んでいった。 同時に傘のからくりを起動させ、いつでも攻撃できるように態勢を整える。
急に草むらが動き、花雨が跳びかかろうとした。しかし、草むらから出てきたのは小さなキツネであった。

無剣:慌てないで、ただのキツネよ。

私は花雨の勢いに腰を抜かしたキツネを抱きあげた。

花雨キツネ
無剣:見たことないの?
花雨:ない。任務と関係のないことを知る必要はないから。
無剣:そっか。一度触ってみたら?
花雨:触る?
無剣:うん、触ってみる?

花雨はその繊細な指をキツネに向かって慎重に伸ばした。最初はそれを避けようとするキツネだったが、花雨に悪意がないと気づくと 、彼女の指を噛んだ。

花雨:っあ!
無剣:花雨キツネに驚き、キツネもまた花雨に驚いた。キツネは一目散に逃げていき、視界から消えていった。
無剣:あらら……どう?痛い?
無剣:花雨は眉をひそめながら何かを考えている。
   表情が変わったようだ。
花雨:なぜ私を噛んだの?
無剣:たぶん、驚いたんだと思う。
花雨:驚く?
無剣:怖がる、っていうことは教わらなかったの?
無剣:教わった。恐怖は爪を隠すのに一番いい手段。つまり、あれがキツネの爪?
無剣:あのキツネは逃げたかっただけじゃない?
花雨:逃げる?
無剣:危険な目にあったら、そこからすぐ離れることよ。
花雨:ふうん、それが逃げるってことなのね。

何か勘違いしているようだが、それでも別に問題はないだろう。少なくとも、また森でキツネを探し始めた花雨の顔には、好奇心の表情が浮かんでいるのだから。


花の迷夢

花雨と外出する回数が増えるにつれ、彼女の表情もだんだんと豊かになってきた。ほとんどは一瞬で消えてしまうが、ようやく顔に笑顔がみえるようになってきた。

無剣:花雨、何かあったの?
無剣:宿から出ようとしたとき、座っていた花雨の表情が少し緩んでいたので、ちょっと聞いてみた。
花雨:いや……私……

花雨は口ごもる。

無剣:どうしたの?教えてよ!
花雨:俺は……

花雨はまるで全身の力を振り絞るかのように続けた。顔色まで変わっているようだ。
花雨:外に出るとき、私も連れてってくれる?
無剣:ええ、是非!

いままで何かをお願いしてくることはなかったのに…もちろん断るわけはない。花雨は相変わらず私の一歩ほど後ろに立ち、侍女のようについてくる。

無剣:花雨、今日は…
花雨:ごめんなさい。花雨は今日本当に……

花雨はそう言いながら、何か恐ろしいことでも思い出したかのように震え始めた。顔にも恐怖の表情を浮かべている。

無剣:どうしたの?体の具合でも悪いの?
花雨:ううん、大丈夫。
無剣:大丈夫って……顔色がひどいよ!
花雨:顔色?
無剣:うん、赤くなったり白くなったり……
花雨:赤、血……血……赤……
無剣:花雨、どうしたの?なにかあったの?

いったい何があったのか、花雨はただ立ちすくんでいた。それはまるで泥でできた彫像のようだった。

無剣:花雨
無剣:私はまた彼女に呼びかけた。
   しばらく経ち、花雨はようやく目を覚ました。
花雨:は――……
無剣:大丈夫か?
花雨:昔のことを思い出しただけ。
無剣:したいこと?
花雨:絶命堂でのこと……

花雨は落ち込んでいるようだ。なにか辛い過去を思い出したのだろう。

無剣:じゃあ帰ろうか。
花雨:でも、出かけないの?
無剣:大丈夫。何か用事があるわけじゃないし。
花雨:じゃあ……

花雨が何か言いたげに目を輝かせた。

無剣:じゃあ、昔のことを教えてよ。
花雨:分 か り ま し た 。

花雨は頷き、遠くを見つめる。故郷の方角なのだろうか?私が憶測しているうちに、花雨は自分の過去を語り始めた。

花雨:私は生まれたときから絶命堂にいた。それ以外は何も知らない。わたしの知ってることはすべて絶命堂から教わったの。
花雨:ここでの修行で一番重要なのは最初の十年。この十年間、勝手に話すことや動くことは一切許されない。命令通りにしか行動できないの。
無剣:十年も?もしできなかったら?
花雨:この掟に背いた者は全て消えた…
無剣:消えた……?まさか?
花雨:分からない。ただ、掟を守れない人間は暗殺者にはなれないから、絶命堂には必要ない……
花雨:絶命堂から離れて、掟を……忘れるなんて……
無剣:けど、いまあなたがいる場所は絶命堂じゃないわ!

私は花雨の手を取った。

無剣:ここでは、やりたいことを我満する必要はないの、欲しいものを欲しいと言ってもいいの……
花雨:うん……
無剣:花雨は何も言わず、ただ頷いた。
   彼女の口元には、小さな笑顔の花が咲いていた……


同盟会話

○○の花雨:……
○○の花雨:私に用ですか?
○○の花雨:まだ任務があるので、また。

○○の花雨:絶命堂は過去の棲家にすぎない
○○の花雨:あそこはもう、私の家じゃない。
○○の花雨:過去のことは……もう覚えてない。

○○の花雨:武功の練習中です。
○○の花雨:この袖に隠した針金が、人を殺すためから、人を守るための道具になっている。
○○の花雨:守るためなら、より一層、必中じゃないと。


判詞

一句目 清冽な目に無言の針が雨のように降る
二句目 血の花が散り相手は倒れる
三句目 彼女の行方を誰も知らず
四句目 幼い昔のことが思い出される
五句目 籠に閉じ込められ希望を捨て
六句目 漸く逃げ出すもまた悲壮の極まり
七句目 常に鋭い目で真相を突き止めるのに
八句目 何時あの彼が現れるのだろう


コメント(1)

コメント

  • 花雨同盟会話1種 No.104206553 2019/09/12 (木) 14:17 通報
    ・武功の練習中です。
    この袖に隠した針金が、人を殺すためから、人を守るための道具になっている。
    守るためなら、より一層、必中じゃないと。
    0

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  7. 重陽宮
  8. 無名山中
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  11. 朱雀の陣 ※未実装

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通常物語より難しいクエスト
  1. 氷火島
  2. 崑崙山
  3. 桃花島
  4. 古墓
  5. 絶情谷
  6. 剣塚
  7. 重陽宮
  8. 無名山中 (1コメ)
  9. 無名山頂 (6コメ)
  10. 雲頂剣台? ※未実装
  11. 朱雀の陣? ※未実装

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